2006年10月7日土曜日

住宅の射程


建築の射程」読了です。
以前にギャラリー間で開催された。
現代住宅展の講演を本にしたものです。
講演者 磯崎新、安藤忠雄、藤森照信、伊東豊雄の4名です。
偉大な建築家が住宅について語ります。

磯崎新は、住宅は建築ではないと言い、安藤忠雄は、住宅は建築の基本と言う。
藤森照信は、日本の最新の住宅に新たな潮流の可能性を感じ、伊東豊雄は、サランラップシティからそんなに変わっていないと感じている。

最新の狭小住宅には社会に対しての主張がなく、あくまでもnLDKの範疇の中から微細な変化を与えた住宅が生まれているという状況で、住宅を建築と呼ぶのかと磯崎は言う。
伊東豊雄は、果たして住宅に社会的な主張が必要なのか分からないという。
た だ、共通している主張は、大家族という形態から核家族になり、家族の中のプライバシーが求められ、生まれた住宅の形の延長では、現在の個人が直接社会と繋 がりを持つケータイ社会で機能するのかどうかということにある。その方向を助長していくような住宅が良いのか、家族への回帰が求められているのか定かでは ない。

興味深いのは、西沢立衛は、自作の森山邸をオープンな住宅にしたと解説しているが、実際に訪れた伊東豊雄は、開口部が大きくオープンになっているが、住んでいる人の熱気のようなものが外に伝わっておらず、透明な膜で包まれている状況から脱却できていないと見ている。

個 人的には、建築とは、気持ちの良い空間にあるのではないかと思っている。社会に対してテーマの定義は必要ではないのではないかと思う。ただ、伊東豊雄さん がいう社会に対してどうあるべきかという問題、現在の社会情勢のなかでの家族のありかたについて、何が正しいのかはまだ見えていない。

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